『博物図譜とデジタルアーカイブ』関連で美篶堂さんの伊那製本所に見学に行く機会を得た。
学生時代から憧れだったけれど、工房を拝見するのは初めてだ。
総勢5名で高速バスで4時間ほど揺られ(その間、寝不足だった私は爆睡)、
伊那市でタクシーに乗り変えて15分ほど。
アルプスに囲まれて空が広く、稲穂が青々と揺れるその景色はとても胸のすくようで
思わず深呼吸。でもタクシーの運転手さん曰く、今日はアルプスがあんまり見えていないらしい。
それでも随分きれいだ。
ちなみに工房の周囲には「みすず」「美篶」という表記がたくさんあって、
この地域のことをさすのだ、と初めて知った。
後輩で製本家のM嬢に出迎えられ、工房長や親方にご挨拶をしてから早速見学させていただく。
今回、I期からV期までの『博物図譜とデジタルアーカイブ』カタログを合本するために
お力添えいただいているのだが、5冊分のカタログのページ(これは綴じられていないもの)が
一堂に会すとなんともはや……圧巻!!
こんなにたくさんか〜〜、となんだか面白くなってしまった。
この圧倒的な紙の束を手作業で折り、丁合し、かがっていただくのだ。
……なんというゼイタクだろうなあ…うっとり。
ちなみに私たちがお邪魔したのは、親方がページを折り
(何枚もを一気にズレなく折ることができるのは親方だけらしい。見ていても
ほれぼれするような鮮やかさで悩殺されてしまった。)、
スタッフの方が折丁を整え、それをさらに丁合するというタイミングだった。
果てしない作業を思い、我々見学者一同は「は〜」とか「ほ〜」とかいうばかりだ。
▷親方が折ったページの束。この枚数をズレなしに折るって……(愕然)!
ちなみにスタッフの方ももちろん複数枚を折ることはできる。ただ親方は枚数が違うのだとか。
▷丁合を待つ折丁たち(ごく一部)。これをスタッフの方が手作業でまとめていくのです。平伏。
『博物図譜…』以外にも、別のお仕事を見学させていただいたり、
工房内にある機械を見せていただいたり。親方には「小僧仲間」と言えるご友人が
たくさんいて、そのつながりでオリジナルの機械を作ってもらったり、
なんてことがあったらしい。なんてことないように語るその様子がうらやましくて、
そういう人間関係は幸福だなあ、と思う。
もちろん私にも贅沢な友人はたくさんいるのだけれど…厚みが違うというかなんというか。
……って、当たり前なのでしょうが…。
▷あまり見たことのないタイプのプレス機。これで一度背を落ち着かせる。
見れば見るほどよく出来ていて、私もT先生もひゃーひゃーと興奮しきり。
別件のお仕事を手がけているスタッフの方の手際の良さにほれぼれしたり、
親方がここ数年手がけていらっしゃるお仕事を拝見して悶絶したり(詳しくは話せないけれど……
あれは神業以外のなにものでもない……眼福。)、
過去の作品を解説付きで見せていただいたり。心充ち満ちる贅沢な贅沢な時間でありました。
7月26日のワークショップに参加してくれたお子さんがお家に帰ってからも
制作を続けて、完成させてくれたそうです!
うう…うれしい……!! ツイート、ありがとうございます!!
ご縁があって、DNPのコミュニケーションプラザ ドットDNPで開催されている
『世界のしかけ絵本』展の関連ワークショップを担当しました。
「夏休みの自由研究〜しかけえほんを作ろう!〜」と題したワークショップでは
小学生を対象にもっとも原始的なしかけ絵本のひとつである「ピープショー」をつくることにしました。
「ピープショー」を初めて見た時、私自身がその簡単な構造に反した大きな効果にとても感動した経験があり、
それを子どもたちにも体験してもらえたら…と。
そしてモチーフは夏、ということもあって「海」を設定。昔の自由研究に、箱の中に水族館を作るというのが
ありましたが、そのイメージものっかっています。
素材作成のために友人のイラストレーター、まえだなつこさんにイラストを描いてもらったのですが、
予想どおり、抜群!の仕上がりに私は準備段階からウヒウヒしてしまいました。
◎
当日は小学1年生から6年生まで幅広い参加者を迎えてのイベント(1回90分/全2回)に。
サポートスタッフの学生や書架Lab.スタッフのFの協力におおいに助けられながらなんとか無事に終えることが出来ました。
色を塗ったり、ハサミを使ったり。そうしたことをどのレベルで求めていいのかは探り探りでしたが
子どもたちは想像以上のポテンシャルを発揮してくれて、こちらが驚かされるばかり。
色の塗り方、物語の設定、そうしたものはとてもかなわない!!と脱帽です。
「このカメは縁結びのカメなんだよ。カップルのダイバーで会うといいことがあるんだ」
「ここはダイバーが魚とあいさつしているところ」
「ダイバーをカメにのせてみたよ」
「これはオリジナルのサメ。ツノが生えてるんだ」
「あ、そうだ!ここは7色にしようっと!」
「マダコだ!…マダコだから〜、この色だな!」
制作の中に生まれる「!」はとてもキラキラしていて
彼らの中に繰り広げられる物語を全部全部記録したいくらいでした。
保護者の方の待機場所が少し離れていたこともあって、
子どもたちの思いの向かうままに作られた作品たちは伸びやかで自由で、
この感覚をずっと持っていて欲しいなあ、と強く思わずにはいられませんでした。
誰もがこんなに「ものをつくる」ということが身近だったのに
いつの間に美術を苦手にする人が生まれるんだろうなあ、などと考えてしまったりもして。
ワークショップは何かを提供しているようで、こちらがもらうものの方がずっと多いな、と
本当に痛感します。まだまだワークショップの経験は浅いけれど、
もらったものを還元しながら、コツコツと展開していけたらいいなあ、と思います。
◎
ちなみに「ドットDNP」は市ヶ谷にあります。
私は今回初めてお邪魔したのですが、カフェもあり、体験ブースやワークショップ企画もあり、
楽しい場所でした。HPをみても「これ、面白そうだな〜」と思う企画があれこれあって、
思わず参加してみたくなるのでした。ぜひぜひ、一度足を運んでみてください。
「印刷」が放つ可能性がそこには広がっています。
4月19日に幕を開けた書架Lab.のプロジェクト『みんなの本棚をつくろう!』が無事に閉幕となりました。
そして昨日今日と、約2ヶ月お世話になった府中市美術館の公開制作室の復帰作業をし、
そちらも無事に完了。完全撤収となりました。
慣れないことも多くて目の回るような日々でしたが、
たくさんの方に支えられ、応援してもらってなんとかゴールテープを切ることが出来ました。
颯爽と、とはいかなかったけれどそれでもある種の達成感もあり。
本当に本当にみなさん、ありがとうございました!
Twitterではいくらか進捗を書いていましたが、こちらにもある程度様子の報告をしたいと
思っていますので気長にご覧いただければ幸いです。
古池寿浩さんのCD『井の中の蛙』の発売とライブにあわせて制作した缶バッジが好評につき、
在庫がほとんどなくなったとレーベル主のK下さんから嬉しいご報告。
わーお!ステキだ!!
…というわけで改めて再生産となります。
制作は前回に引き続き U CANBADGE さんに。
前回、とても迅速で丁寧な対応のうえに超短納期を実現していただきました!
あの時は本当にありがたかったものです。
缶バッジを作りたいなあ、という方にはオススメですよ。
https://www.u-canbadge.com/index.html
■
業者の方に短納期をお願いするのはものをつくる人間としては心が痛むのですが、
それでも作り手は自身の心意気にかけてそれをやってのけたりするのですよね。
このことにはいつも頭が上がらず、ただただ感謝するばかりです。
そんな心意気をこの世界が食いつぶすことなく、相応の敬意を表するなら
日本の文化レベルは確実にもっと高みにのぼれるだろうにな、と考えたりもして。
…ん?なんか話がズレましたな。
今年もこの日がやってきました。
人懐っこい学年のみんながシルクスクリーン印刷に挑戦です。
朝から打ち合わせ。
府中市美の公開制作の話を発端にして、また新しい試みをすることになりそうです。
いまやっていることをちゃんといかせるように考えなくては。
その後、もうひとつ打ち合わせ。
さらにそのあと、楽しい場所に行く前に
楽しくなりそうな話をするためO氏と打ち合わせ(というかあーだこーだの話だけど)。
こういう話を出来る人がいるっていうのは、考えごとにハリが出てわくわくする。
そして楽しい場所へ。
思うことはやっぱりたくさんあります。
それはきっと別のところに書くのだろうと思いつつ。
府中市美・公開制作の関連イベント『まるごと1冊、解体ショー』の初回。
前日にダミーを解体してみて初めてわかることがたくさんあり、
宿題もふくれあがった。それをなんとかこなして、朝から会場へ。
S嬢と言葉少なに準備に励む。
ずいぶんな寝不足だったけれど、緊張もあってかあまり気にならなかったのだが、
ずいぶんな寝不足だったせいで、あれこれとミスを連発。
なにより、夜を徹して書いたショー用の原稿を忘れたのことにはヘキエキ。
慌てて自宅に戻るはめになった。
それ以外にも紙を切り損ねたり(これ、多かったなあ……)して心の中で「ムキャー!」となる。
◎
さておき。
府中はくらやみ祭りの最中で、満員御礼!というわけにはいかなかったけれど
本に興味のある方々が集まってくださり、
なにより興味津々で話を聞いて、たくさん質問をしてくださったことが
とてもとてもありがたかった。
1時間30分と記載しているけれど1時間もないかもなあ、なんて考えていたけれど
ふたを開けてみれば1時間30分を超えても質問は相次いだ。
本当にありがとうございました!!
その後、ドタバタとすぐに2回目。
(ちょっとの間に学芸員のKさんが「へぇ〜」と「なるほど!」の札を作ってくれた!)
こちらも1回目よりはリラックスすることが出来た。
1回目からずっと聞いていてくださったKさんと友人のM嬢は
2回目も「へー!」とか「なるほどー!」とかステキな反応。
この回は、以前ボランティアでワークショップをお手伝いいただいた方も
「見に来ました!」と足を運んでくださったのが嬉しかったなあ。
GWの怒濤の日々の最後となったこのイベントは
準備は大変だったけれど、晴れ晴れとした気分で終えることが出来て良かった。
25日にもう一度あるので、今回のことをふまえてより深く、よりスムーズな進行で
お届けできるようにしたい。
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『まるごと1冊、解体ショー』
日時:5月25日(日)13:00〜/15:00〜(各回1時間30分ほど)
会場:府中市美術館1階 公開制作室【観覧無料】
※特製の本を解体しながら、1冊の本がどのように出来ているかを解説します。
気がつけば5月に突入していますが、それを把握している余裕があまりない今日この頃。
府中市美術館の公開制作『みんなの本棚をつくろう』にどっぷり浸かっています。
幸せなことです。
ゆっくりしたペースではありますが、専用ツイッターにお知らせや日々の進行状態などを
書き込んでおりますので、興味のある方はご覧下さい。
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https://twitter.com/syokalab
◎本日のお写真
▷気になるなぁ。ふたつともあんまり見ないタイプだ。
府中市美術館での会場設営2日目。
今日もap嬢の助けを借りて、黙々と作業。
手が空いた瞬間に、今やれることを見つけて自発的に作業をしてくれるという
超有能力を持つ彼女に向かって思わず心でひれ伏す私。
はー、ほれぼれ。
おかげで、想定していた分の書架は全て設置完了。
明日は会場の細かな調整をしていく予定。
会場内は気をつけないといけないところも多いので、その注意書きなども作らなくては。
やっていく中で「!」ということもきっとあるけれど、未然に防げることは防がないといけない。
頭の中でシミュレーションが必要だ。