14.01.21 進化するミュージアム2014

デジタル文化財シンポジウム+展示「進化するミュージアム2014」で
様々な博物館や美術館、寺社、大学等での文化財に対するデジタル的なアプローチに関する
発表が12:30から17:00までの長時間に渡って行なわれました。
その中で武蔵野美術大学の博物図譜とデジタルアーカイブに関する展示・発表も
行なわれたので、関係者の一人として参加してきました。


▷クリックすると少しだけ大きくなります。

正直、そんなに長時間のシンポジウムに参加したことがなかったので
退屈だったらどうしようなどと罰当たりな(?)ことも考えていたのですが、
ふたを開けてみればそれぞれ興味深く、楽しく聴くことが出来ました。

デジタルが抱える保存の問題、1300年以上続いてきた伊勢神宮の文化と技術の伝承の力、
国宝修理とデジタル技術の関係の可能性、学びのためのアーカイブの必要性と楽しみ。
今起こっている出来事にアプローチすることで変わるかもしれない未来。
各組織がそれぞれの立場でデジタル技術と向かい合い、ままならぬ環境におかれながらも
地道に文化の発展と継続のために様々な試みをしていることが見えて、
各所で感心し、もどかしく思い、あれこれと共感したのでした。

個人的にはデジタル技術がどんなことにどのように役立つのか、という手法そのものよりも、
その根底にある、ヒリヒリするほどの「未来に文化を残したい、伝えたい」という
人間的欲求それ自体にとても興味があります。
日々、文化財に接している方々が言いました。「残そうと思ったものしか未来には残らないのだ」と。
それは彼らの《実感》だと思います。そういう言葉には重みがある。
もちろん現実で言えばその積極性がなかったものの、処分する積極性がなかったゆえに
残ってきたものもたくさんあるには違いないけれど、
それでもきっと「残そうと思ったものが残ってきた」ことにも違いはないのでしょう。

私たちが過去の文明に尽きせぬ興味を持ち、本当はどうだったのかを知りたいと思うように、
遠い未来の人間たちも今の世界を過去として尽きせぬ興味を持つのでしょう。
その時、できるだけたくさんのヒントが残っているとすれば、
それはきっと彼らに多くの示唆と、何より “ワンダー” をもたらすはず。
その未来を想像すると、私はとてもワクワクしてしまうのです。

…とかなんとか、また勝手なことを考えていたのでありました。


展示ではさまざまな方とお話しすることも出来て、それも楽しかった!