13.05.19【その1】観てきた

友人たちが展示をしているというので
木場のEARTH+GALLERY, gallery COEXIST-TOKYOに『幽体離脱しちゃったみたい。』展を観に行く。

いやはや、ギャグだなあ。(←変な意味でなく)
もちろん真摯に展示をしているのだし、そのことはよくわかっているけれど、
なんだかスコーンと抜けるようなギャグ感が漂っていて
始終脱力した笑いがこみ上げてきました。特に2Fはそんな感じ。


たけのくんは80’sの追求の仕方が圧倒的で、いつみても完成度が高いなあと思いました。
ラジカセもチャーミングシールも、文具も、何もかもが80’sの女子の部屋で
「ぎゃー!あったあった!こういうのあった!」と大盛り上がり。
かつて、通ってきたモノが時間を越えて目の前に現れると「異様なリアル」が表出して
そのことにちょっと愕然としました。
自分が大事にしていたものよりも、何気なく日々の中にあったものの方が
その異様なるリアルを突きつけてくることにも。
それは「いまここにある」というリアルではなく「かつて生きた日常」という化石的なリアル。
形と配列で “当時” を定着したままのチャーミングシールを見た感覚は衝撃的で
これは数百年前の遺跡の発掘で人の痕跡を見つけたのときっと同じ感覚だ、と確信しました。
(発掘したことないけど。)

 
それから話には聞いていた、身体にハムをつけたロボットを見ることが出来て大満足。
人見麻紀さんの「HAPPY LAND」という作品です。この作品、かなりいい味でした。
身体にハムを巻き付けたロボットが大きな風船の力を借りながら
四足歩行をしつつ、こどものような人工音声で
ちょっと音程が外れ気味に「ドナドナ」を歌う。
彼(あるいは彼女)にそうするように指示を出しているのは
特殊なメガネをかけなければ見ることの出来ない
ディスプレイ内のかわいらしいクマ。
顔もない四つ足から歌声が聞こえ、歌い終わるとクマがいかれた声で「すごいねー」という。
そうすると(意図してのことかどうか)四つ足がしばらく痙攣。
そしてまた「ドナドナ」を歌う。

このシチュエーションで「ドナドナ」ってところがすごい。
そして、ハムを巻き付けるとか可愛らしいクマってところがとても女性的だと思いました。

ここで醸し出されるのは明るい狂気。
でも決して狂っているんじゃなくて、
彼ら(あるいは作家)にとっては当たり前の幸せな世界なのだろうな。
ただそれが外在化すると狂気的に見えやすいだけで、
狂気的な質感をしたふつうの世界。
私もその存在を信じられるくらいにはこの世の中を観てきたみたいだ。