11.03.31 ポスター限定制作

武蔵野美術大学 平成22年度 博士後期課程研究発表展』のデザインを担当している。
地震の影響を大きく受けた展覧会で、チラシのデザインの要になるはずだったUV厚盛り加工は
できなくなり、チラシ・ポスターが刷り上がった時点でレセプションパーティーは中止が決定、
各所へ案内を郵送した途端に会期が変更となった。

この展覧会において作品発表をする前壮一郎さんはシルクスクリーンで制作を行なっている。
そこでオフセットのポスターとは別に、シルクでポスターを刷ってほしいとわがままを言い、
贅沢にもそれが実現することになったので、立ち会いに向かう。

私が普段接しているシルクスクリーン工房と違ってとても清潔な工房。
水性インキで印刷することに興味津々で、作業中の前さんにあれこれと質問を投げかける。
同じ大学内でも各学科によって印刷の方法や「おきて」が違い、
二人で「えー!?」とか「へー!」とか言い合いながらひそやかに盛り上がる。
ぜひ試してみたいことも教えてもらえたので、自分でも実験してみよう。

さてこのポスターは「かきた」という耳付きの紙で上等である。
「耳付き」というところにミーハーな憧れを持つ私は「これを残したい!」と
さらにわがままを言い、前さんを困惑させつつもこれまた実現していただいた。
そして裁断は前さんからの提案で、定規を当てて切る方法をとることに。
これも初耳だったのだが、版画の世界では風合いのあるこの切り方をよく採用するらしい。
確かに雰囲気があってさらに素敵な感じになった。
う〜ん、これだからやっぱり専門が違う人と話をすると刺激的で嬉しい。

仕上がったものは学内各所に貼り出されるので、ぜひご覧下さい。

1)調色済みのインキ

2)版と用紙のあいだ。

3)ところ違えば、製版用原稿も違うのです。面白い。

4)刷れました!

5)乾燥ラックには耳付き紙のクレバス