13.09.21【その1】観てきた

S嬢と東京ステーションギャラリーの『大野麥風展』を観てきた。
ムサビの『博物図譜とデジタルアーカイブ』のV期でも荒俣宏氏所蔵のものを拝見したが、
今回は肉筆画や、版木も含めてたくさんの作品を見ることが出来た。
それでもなんといっても「大日本魚類画集」全72点は圧巻!!
木版画だとはわかるけれど、「ここ、どうやったの!!」とか
「どう版分けされてるんだ!!」と叫びたくなるような超絶技術のオンパレード。
絵を描いた麥風も素晴らしいけれど、彫師と摺師の方に心から脱帽と尊敬を。
(日本人はこういう能力を捨て置いて一体どこへ行くつもりなのだろうな、とか思ってしまいもする。)
今回の展覧会では原画や版木、摺り見本、それに対する麥風の修正指示を見ることが出来たのもすごくよかった。
この指示、引き算なら割合いいけれど、「太く」とか足し算なんてことはあったんだろうか?
そうだったとしたら…と想像すると「ひゃー!(ぞぞぞ)」となる。
戦中も続けられたこの画集の刊行と、時代背景についても興味がある。

それにしても、日本人は素敵な魚の絵を見るとどうしても「おいしそー」ってなるサガでして
ついつい、2人で連呼したのであった。


そして、杉浦千里氏の原画を見ることが出来たのもとてもとても収穫!
私なら、脚の1節分描くのだってギブアップしそうなくらいの精密さで描かれたエビやカニ、魚たち。
情熱などということばでは捉えきれない熱量をヒリヒリと感じる。
夭折されたことが本当に惜しまれる才能。
竜宮城は絵にも描けない美しさ、というけれど、彼なら描いてみせたろうと思わずにはいられない。
そしてきっとその絵は言葉にできない美しさなのだ。

本当に上等なものを見ました。大満足。こころ満腹。