M嬢の務める職場でコンサートがあるので来ないか、と勧められて
思いがけずテノール歌手の方々と、マリンバ・ピアノ奏者の方々の演奏を聴くことになった。
基本的にコンサートというものにいかないので、もの珍しく出かけたが、
なんの気負いも期待もしない心には新しい刺激で、これまた思いがけずいい時間。
音楽無知な私はマリンバと聞いて、太鼓的な打楽器を想像していたけれど、
そうか、木琴みたいなやつのことだった。
一体どうやって動いているんだ……と目が釘付けになってしまう見事な手さばき
(なんというか、物語に出てくるムカデのように「どう演奏するんだっけ」と一瞬でも考えたら
途端にわけがわからなくなってしまうんじゃないかと想像せずにはいられないほどの見事さ!)による演奏は
素晴らしかったし、テノールで聴く動揺や名曲はしみじみと感じ入った。
休憩の間に提供されたご飯もとってもおいしくて、
一緒に行ったS嬢と「…おいしいね」「…おいしいね!」「おいしいね!!」と言い合いながら
もりもりといただく。こういう食事を普段からいただいている人がうらやましいなぁ。
近所と言えば近所だけれど、初めて来た地域は目新しくて、
のんびりキョロキョロしながら帰途についた。秋が近い季節には似合いの夜だ。